人生で忘れられないセックス。
これを読んでくれているあなたはいくつありますか?
わたしはたった一つだが、今でも鮮明に憶えている。
もう20年ちかくも前になるが、女性としての悦び、情事でオーガズム…イクってことを体験したことがないことを、BARで飲んでいるときに居合わせていた当時の私より一回り以上歳が離れたおじさんに悩みを打ち明けていた
私はその時付き合っていた幼馴染の彼が居て、彼の淡白すぎるセックスに嫌気が指していたところだった。
その時の私は、そういったこともあり自棄になっていたこともあり、そのオジサンとホテルに行くことになった。彼以外の男も知らないし、彼以外のセックスはどんなものか興味もあった
一夜限り、彼への罪悪感は物凄くあるんだけど、このままだと彼への不満は溜まる一方なので
なるようになれ!
そんな思いで、ほろ酔い状態で名前も知らないオジサンについていった
「先にシャワー浴びる?」
緊張で声が出ず頷くことしかできない。部屋に流れる音楽が遠く離れてエコーがかかっているような感覚で少しおぼつかない足取りでバスルームへ向かった。服を全部脱ぎ、冷たい床を素足で、熱いお湯で身体を流しても身体のこわばりは抜けないまま
全身なにもつけない生まれたままの姿に、ふかふかの白いバスタオルを巻いて、ベットルームへ足音を立てないよう戻った、オジサンは少し顔を緩ませて
「じゃぁ僕もシャワー浴びてくる」私と入れ替わりバスルームへ
男のシャワーってあっという間なのだが、その時はとてつもなく長く感じた。ベットの際に座ったり、たくさんある有線テレビのチャンネルザッピングしたり。
意を決して、私はキングサイズはあろうか大きなベットの真ん中に仰向けになった。見上げる天井は、派手なネオンのような演出が彩られている。その様子を見ているとオジサンがシャワーから戻ってきた
両方の手の平で顔を隠し、両足は内腿をぴったり密着させて
「はずかしい?」
手で顔を隠したまま頷く
「じゃあちょっと待っててね」
オジサンは再びバスルームに戻り、すぐに戻ってきた。手は少し汗ばんでくるような感じに。
「じゃあ、ゆっくりその手を外そうか?」
光が少し眩しく感じる中、見えたオジサンの顔は、飢えた獣ではなくて、私が病院で入院中。目が覚めたときに見る
それはまるでパパ。お父さんのような優しくて穏やかな顔に見えた
手には浴衣の腰紐を持っていた。それを見てそれまでの優しさが一瞬にして消えた。もしやこれを両手か足を縛る?
「これで、目を隠そうか?大丈夫そうになったら自分で外せばいい」
頷くと、腰紐で私の目を隠した
「部屋を明るくするね」
「えっ!やだっ!」
「大丈夫!」
「恥じらい、見られているってのも快感のひとつになるから」
「じゃあタオルを取るよ」
軽くこぶしを握り、腕を折り曲げて、小刻み身体が震えだした
「生まれたばかりの小鹿みたいに震えちゃって、かわいいね」
観音扉を開けるかのように、巻かれているバスタオルを開けた
…
ほんの少しの沈黙、震えがさらに大きくなってきた
「きれいだ」
「まずは、その震えを止めないといけないね、どうしてほしい?」
「わかんない…」
オヤジはまず私の左肩に触れてきた。シャワーから出てきてすぐってこともあるがその手はすごく暖かさが伝わってきた、肩から肘まで優しく撫でられて、折れた腕、折り返し地点のようになっている肘からあがっていくと手の平へ
私の手の平は、まるで迷子になった子供のようにオジサンの手を捕まえた
その手は、ゴツゴツとした節のある関節に、柔らかくて暖かい手の平。人の手をこんな風に感じたのは生まれて初めてだ
「横に寝ていい?」
頷くと、オジサンは私の右横に寝そべった。反射的に私は右を向き、掴んでいた手を放しタオルを取り素っ裸になっているオジサンを手繰り寄せた
「ギュッとしてください。」
そういうとオジサンは私の背中に腕をまわして、力をいれて抱きしめてくれた
震えと共に、体の中に何か溜まっていたものが、膨らんだ風船から空気が一気にぬけるような感覚に
「そうそう!そうやってしてほしいことを伝えるんだ!」
後ろ髪、後頭部を撫でられ、なんでかわからないけど涙が溢れてきた、でも目隠しをしているから彼は気づかないだろう、それを紛らわすため彼の肩をかぶり付き、吸った。
「キスしても大丈夫?」
私は首を大きく左右に振った
「だよね、じゃぁはじめるか」
「えっ!もうはじめてるじゃない?」
「えっ!そうなの、僕にしたらこんなのまだ準備体操だから」
「もう!折角気分高まってきたのに!もうっ!」
目隠ししていた紐を解き、自らオヤジの唇に飛び込んだ
それはねっとり長い時間をかけて
「キスは駄目じゃないの?」
「もういい!」
ふたたびオヤジの首を手繰り寄せ、オヤジの唇と舌を奪った
コメント